おいしい憲法のはなし

憲法は、ふだん意識しないところで、時には意外なところで暮らしを守り、支えています。そんな憲法の議論が盛り上がっているいま、わたしたちはあらためて日本国憲法について知ることがとても大切ではないかと思います。

そこで、聖学院大学の石川裕一郎教授(憲法学)に協力いただき、日本国憲法の大切な点、優れた点をまとめました。わたしたちみんなが憲法を学び、考えていく材料にできたら、と思います。

世界からも賞賛されてきた日本国憲法は、自由度の高い、様々な時代の流れに対応出来る懐の深さがあります。変わりゆく時代、変わりゆく世界にあっても、一人ひとりがありのままで生活をしていくことを守る、実に優れたものです。

憲法は、政治は、わたしたちみんなのものです。日本がこれからどんな国になるといいか、いっしょに考えていきましょう。


 あまり政治に興味がない人でも「改憲」という言葉を聞いたことがあると思います。18歳から選挙権が使えるようになり、若い人たちにとっても「改憲」は大きな問題です。

 しかし2016年7月に行われた参議院選挙において「改憲は争点ではなかった」などという報道がありました。本当にそうでしょうか。自民党は「争点隠し」をしていたと言ってもよいと思います。なぜなら自民党は党結成当初から改憲を目指している党であると公言し、すでに自分たちで憲法草案も作っているからです。漫画のパンフレットを作って改憲の機運を高める活動もしています。ですから、選挙の争点になってもならなくても、「改憲」は常に意識されていると言えます。

 そもそも政治の争点というものは政治家やマスコミが作るものではなく、私たち一人一人が自分で考え自分で作りあげるものです。政治は国会議事堂にあるのではありません。私たちの日々の生活そのものが政治なのです。政治に関わる憲法は私たちの生活にも関わります。

 では、私たちは「憲法」や「改憲」についてどのくらい知っているでしょうか。「改憲」という空気が感じられる今、なんとなく耳にする「改憲」の必要性を深く考えずに信じこんでいないでしょうか。私たちも「改憲」について考えてみるときにきています。

 そんな気持ちで、社会に広がりつつある「改憲」の言説を、普通の目で改めて眺めてみると、いろいろ素朴な疑問が湧いてきました。「当たり前のように言われているけど、ちょっと考えてみたら変だぞ」とか「現行憲法では無理だというけど、別の方法でちゃんと解決出来るじゃないか」というようなことがいっぱい出てきました。

 そこで、およそ50個の素朴な質問に対し6人の大学関係者が答えを示しています。質問も短いものですし、答えも長くありません。なるべく難しい専門用語も使わないようにしました。ですので、どのQ&Aも気楽に一気に読んでもらえると思います。また、内容別に構成していますので、どこから読んでもらっても結構です。興味のあるところから読んでみてください。素朴な疑問だけでは物足りない人向けに、後半部分では「自民党改憲草案」についてのQ&Aと解説もつけました。

 皆さん自身が憲法や「改憲」について考え、自分の中で争点化するきっかけになれば嬉しいです。


改憲をめぐる言説を読み解くプロジェクト 執筆者一覧(五十音順)

石川裕一郎(聖学院大学、憲法学)■稲正樹(国際基督教大学元教員、憲法学)■神田靖子(大阪学院大学元教員、言語学)■志田陽子(武蔵野美術大学、憲法学)■名嶋義直(琉球大学、言語学)■野呂香代子(ベルリン自由大学、言語学)

注:このQ&A集は「「安保法制」に反対する北海道宗教者連絡会」様が作成されたパンフレットWeb版を元に再構成したものです。このQ&A集に関する著作権、著作隣接権は、「「安保法制」に反対する北海道宗教者連絡会」様に帰属します。